戦後エロマンガ史

戦後エロマンガ史

戦後エロマンガ史内容

緊急出版!東京都「非実在青少年」規制、条例改正!?マンガの“歩く百科事典”だった著者が、急逝直前まで連載していた遺作を単行本化。カストリ本から「有害コミック」問題まで、マンガの多様性を最底辺で支えながら、文化として無視され続けてきた「エロマンガ」の通史をまとめた初めての書。 性は古来より、芸術、大衆娯楽の大きなテーマであり続けてきた。(中略)支持を受けながらも、時に糾弾され、圧殺され、また甦ってくるその在りようは、時代を超えて繰り返される社会と個の戦いではないのか。表現におけるエロチシズムを探りつつ、マンガの中で描かれた「性」についての歴史を整理してみたいと考えたのは、マンガが、表面的に言われるような要因のみでヒットしたのではないのではないかという思いがあったからだ。(本書より)

戦後エロマンガ史口コミレビュー

これはエロマンガ「通史」であり、戦後間もない「カストリ雑誌」の挿絵のようなものから掘り起こし、90年代美少女コミックの隆盛とその危機までを紹介した空前絶後の名著である。未完とはいえ雑誌全盛期と思われる82年以前の研究が充実しているので、本人としてはほぼ満足していたのではないか。80年から81年にかけてエロ劇画誌がいっきに衰退していくのだが、それは著者が文中で指摘しているように、ワイセツ罪による締め付け、青少年条例の強化による自販機追放の動き、ビデオの普及により、ポルノ、AVにエロ商品が移っていったこと、ビニ本から裏本へといったエスカレートによる旧来エロ本の衰退、メジャーによる青年マンガ誌の創刊、ロリコンブームを経て始まる美少女コミックへの転換、そして力ある作家たちのメジャー誌への流出を挙げている。私自身レンタルビデオのお世話になってからエロ雑誌は買わなくなった。エロマンガの歴史を振り返って思うのは、現在メジャーな作家たちが結構エロマンガを手がけていたということで、それは手塚治虫でさえ例外ではなく、著者は性教育マンガとして「やけっぱちのマリア」と「アポロの歌」を挙げている。他にも石森章太郎、水木しげる、山上たつひこ、石井隆、吾妻ひでおなど数多くを載せて紹介している。

昨今ではブログや動画投稿サイトなどもあって、世界中のユーザが一見とるにたりない微細で泡沫のように消えていくことどもをアーカイブする基盤がある。エロマンガについては著者が孤軍奮闘してくれたおかげで、本書として軌跡を総覧することができる。文字どおり命を削りながらの労作である。

とにかく労作です。これだけ収集することも大変ですが、それを体系化して紹介していく作業には頭が下がります。とくに時代ごとのエロティックなものに対する大衆の興味や関心を論じながら書かれている文章には脱帽です。特に最近のロリコンマンガに対する考察が読みたいところですが、作者の急逝によってかなわなくなったのが、非常に残念です。

まだ、完読していないのですが、サブカル中のサブカル、エロマンガについて、1940年代からまとめ上げたものです。その膨大な資料収集、そして、それを整理し、体系づけて、記述した米沢嘉博氏の仕事には頭が下がります。その文章には、エロマンガ、そして、画家に対する敬意と愛情がにじみ出て、エロ漫画史というよりは、読者に戦後の文化の変遷を理解させる偉業です。それにしても、子供の頃、みたことのあるような絵が出てきて、本当に懐かしかったです。

手塚治虫でもない、トキワ荘でもない、輝かしい戦後日本漫画の歴史の光にかき消された戦後エロマンガという影。コミケ前代表、米沢嘉博の未完の連載をまとめた著書。「非実在青少年」という造語を元に表現規制を目論む東京都、石原慎太郎都知事、自民党、公明党都議会により提出された“東京都青少年健全育成条例改正案”に対して反対の嵐が巻き起こる中、刊行された。300ページを超えるボリューム。日本で発行される全ての出版物を保存する国会図書館にも残されない“不健全”で“有害”な書籍と、それに関わった作家郡の綿密な記録。戦後、日本は自由な民主主義国家となったはずだか“エロマンガ”にはその恩恵は与えられず、絶滅と復活を繰り返してきた。歴史に残されない、日本文化の最深部を唯一まとめた歴史的資料。「壊れたものは、また新たに立ち上がるのだ。ましてや、表現や文化とわかちたがく結びついて来たエロは、まさに不死鳥の如く、何度も何度も再生していく。表現し受容する側、規制しようとする側は、十年単位でいたちごっこを繰り返してもきたのだ。」米沢嘉博

米沢嘉博の絶筆は『アックス』(青林工藝舎)に連載された『戦後エ口マンガ史』40章「有害コミック問題ぼっ発!!」(2006年8月)であった。この連載は完結を目前にしながら末尾には【未完】と打たれている。そもそも氏は三流劇画ブームの中心人物であり、アリス出版の自販機雑誌『劇画アリス』の編集長も兼任するなど当事者としてエ口マンガに密接に関わってきた数少ない生き証人でもあったわけで、その彼でさえエ口マンガの歴史をまとめあげることが叶わなかったのは不運という他ないだろう。もともと『戦後エロマンガ史』の連載自体、掲載誌の休廃刊で三度も連載が中断している。その後、足かけ6年続いた連載だが未完に終わってしまった。そして、この「続き」は我々が完成させるべき課題でもある。

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